[事例解説]現在多くの企業で導入が進められている『VR研修』とは? 

近年話題になることが多い『VR(Virtual Reality)』とは、専用機器(VRゴーグル等)を装着してバーチャル空間にアクセスすることで、バーチャル空間内で現実のような没入感・臨場感を体験できる技術です。現在、世界中でゲームやビジネス、教育など幅広い分野において、VR技術が利用されたサービスの提供・開発が行われています。

今回は、VR×業務研修』に着目し、多数の企業で導入が進められている『VR研修』についてご紹介します。

また、前回の記事では『メタバース入社式』と題して、コロナ禍で生まれたオンライン入社式とVR技術が組み合わさったサービスもご紹介しているので、気になった方はそちらもぜひチェックしてみてください。

VR研修のメリット

  • バーチャル空間で研修を行うため、研修を開催する時間や場所が限定されない
  • VR研修コンテンツの通りに研修を行うため、研修担当者によって受講者の知識や習熟度にバラつきが生じることがない
  • 一度VR研修コンテンツを作成した後は、ずっと同じものを使い続けることができるため、研修にかかる人件費や教材費を削減できる
  • VR研修では、バーチャル空間で身体を動かしながら研修を受けることができるので、口頭説明や映像を見る研修に比べて、学習効果が高い
  • 学習効果が高いので、その後の実際の現場での教育時間の短縮や負担を軽減することができる

VR研修事例紹介

主に建設業界での活躍が期待できる『移動式大型クレーン操縦訓練VR

株式会社双子ゲームスと金石重機株式会社によって共同開発されたこちらの研修コンテンツでは、工事や建設現場などで使用する移動式クレーンの操縦訓練をバーチャル空間で行うことができます。従来このような大型クレーンは、研修を行う時間や場所が限られてしまうことが多くありましたが、VR研修であれば自由度の高い研修を行うことが可能です。

また、市販のスタンドアローンVRゴーグル単体で動作するため、準備に時間がかからないほか、機材費用を抑えることができます。2022年8月から販売が開始されているので、興味がありましたらホームページから詳細をご覧ください。

HP:https://futagogames.co.jp/business/cranevr/

線路工事作業員の安全教育が目的 『VRを活用した安全教育システム』

株式会社積木製作が東日本旅客鉄道株式会社新潟支社から依頼を受け、開発・納入した安全教育システムはVR技術を活用しています。従来の研修では、研修を受ける現場作業員が危険な作業を見ることができず、危機意識を十分に持つことができませんでした。

安全教育システムでは、受講者がVRゴーグルを装着し、様々な作業を行っている作業員が映ったVR映像を視聴しながら、危険行動を取っている作業員を指摘・回答していくという研修を受けることができます。実際に危険行動を取っている様子を目で確認することで、作業員の安全意識を高めることにつながります。

全店舗にVR研修を導入し、従業員の教育機会拡大と習得レベル標準化を目指す

2022年4月から、イオンリテール株式会社は、「イオン」「イオンスタイル」全店舗にVR研修の導入を行いました。全店舗でVR研修を導入する取り組みは国内小売業で初めてとなります。

VR研修では、実際に機器が無くてもレジ操作や接客応対などの学習をすることが可能です。実際に身体を動かして学習することで、マニュアルを読み込んだり、研修ビデオを視聴するなどの研修よりも高い学習効果を得ることができます。実証実験では、約9割が「作業手順の理解が深まる」「楽しく学べる」と回答したほか、新人教育に関して、指導者側の業務時間を約40時間削減することにも成功しています(1店舗/1カ月あたり)。

事故車の損害調査研修をバーチャル空間で 『VR事故車損害調査研修』

VR事故車損害調査研修の開発によって、それまで三井住友海上火災保険株式会社が全国の新入社員を千葉の研修所に集めて開催していた研修が、全国どこからでもオンラインで参加可能になりました。本研修は、元々は新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして株式会社Synamonと三井住友海上火災保険株式会社が共同開発したものですが、感染リスクを無くすだけでなく、新入社員の研修所までの交通費を削減することにもつながっています。

研修では、3DCGの事故車モデルを使用しながら、事故車損害調査に関する基礎的な知識をバーチャル空間上で学ぶことができます。

最新情報をチェックしよう!